適度なストレスと老化防止の関係について

  • 2023年2月28日
  • 2023年12月12日

現代は子供から大人までストレス社会といわれています。過度で慢性的なストレスは、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、その他様々な病気を引き起こす原因となります。
しかし、ストレスがすべて悪いかというと、決してそうではありません。適度なストレスはむしろ、身体に有益な作用をもたらし、老化を防止することが知られています。

そこで今回は、ストレスと上手く付き合いながら、健康で若々しく過ごすための秘訣を考えてみましょう。
 

適度なストレスは有益?

現代社会では、過度なストレスは老化を起こしてしまいます。これは、ストレスがDNAを破損させ、細胞の遺伝子のアイデンティティーを喪失させ、細胞を老化させてしまうことが原因といわれています。ストレスを無くすことが健康で若々しい生活を送るためには必要だということは、このためです。

ですが、生活をおくる上でストレスをゼロにすることは不可能ですし、ストレスが全て人間にとって有害かというと、そうではありません。老化を克服するためには、適度なストレスを与えることにより、長寿遺伝子を働かせてあげることも必要なのです。つまり、過度なストレスはDNAの損傷を招き、細胞のアイデンティティーを喪失させることで老化を加速させますが、適度なストレスは、長寿遺伝子を刺激して働かせることで、老化を克服することができるのです。

適度なストレスとは?

では、この適度なストレスとは一体どのようなものでしょうか?
一般的に適度なストレスとは「ホルミシス」と呼ばれており、身体に有害なものを毒にならない程度の量を与えて刺激することで、身体に有益な作用を及ぼす生理的刺激作用のことを示します。
 
例えば、紫外線は浴び過ぎれば皮膚がんの原因となりますが、少量の紫外線は活性ビタミンDを体内で作るために必要です。また、ラジウムやラドンは放射性物質として知られていますが、これらの物質が有害にならない程度の量が含まれる温泉の湯は「放射能泉」と呼ばれ、この湯を浴びることは身体に良い作用を及ぼすことが知られています。そのように、老化克服にもホルミシスが必要不可欠です。 ホルミシスの具体例として「カロリー制限」、「間欠的断食」、「運動」、「寒さ」この4つが有効であると、老化研究の第一人者、デビッド・A・シンクレア教授は著書「LIFE SPAN(ライフスパン)〜老いなき世界」の中で述べています。
  

適度なストレス:①カロリー制限

現代人は、生命維持に必要な量をはるかに多く超えたカロリー摂取が問題となっています。生活習慣病といわれる高血圧、糖尿病、脳卒中、心臓病、がんなどもカロリー過多が原因であることが知られています。
老化に関してデューク大学の研究では、21歳~55歳の男女220人を対象に一方のグループ(145人)にのみカロリー摂取量を25%減らすことを目標としました(実際には平均12%しか減らせなかった)。その後、生物学的年齢や健康状態を両グループで比較。すると、カロリー制限をしなかったグループでは、暦年齢が1歳増えるごとに肉体年齢が0.71歳増えていました。一方カロリー制限をしたグループでは、暦年齢が1歳増えるごとに肉体年齢が0.11歳増えるという結果となりました。これにより、ヒトの場合にもカロリー摂取量を減らすことで、老化が遅くなることが示されました。つまり、摂取カロリーを12%減らすだけで、1年後肉体年齢は0.11歳ほどしか年を取らなかったということになるわけです。
 
 

適度なストレス:②間欠的断食

食事の量は普段と変えないものの、食事を抜く期間を周期的に差し込むという画期的な方法が「間欠的断食」です。1964年にシカゴ大学のアントン・カールソンとフレデリック・ヘルツェルがラットを2日おきに空腹な状態にしてみると、そのラットは普通に餌を食べた仲間よりも15〜20%長く生きたという研究結果になりました。

私たち人間も、「朝食を抜く」、「週に何度かはカロリーを減らす」、「定期的に断食を行う」などにより、老化を克服できる可能性があるのです。
 
 

適度なストレス:③運動

運動は、身体にストレスを与えていることに他なりませんが、適度な運動が健康に良いことは一般的に言われていることであり、定期的に運動をしている人は若々しい印象があります。
これは、運動によって長寿遺伝子が活性化し、テロメア(染色体の末端を保護するもので、短くなるとエピゲノムに支障をきたす)が伸び、新しい血管が作られ、ミトコンドリアの活動が高まり、化学エネルギーが増える効果が現れるためです。つまり、運動が遺伝子のスイッチをONにして細胞レベルで若返るためです。
 
 

適度なストレス:④寒さ

寒い日に外で薄着で出歩くのは、実は老化を克服する手段として有効です。というのは、寒さを感じることでミトコンドリアが豊富に含まれている褐色脂肪細胞を活性化できるからです。
この褐色脂肪細胞は最近までは乳児にしか存在しないと考えられていましたが、活性化すると長寿遺伝子から産生される酸素の量が増加することが知られています。これは生物が周辺の環境が変化したときに、自分の身体を安定した平衡状態にしようとする「ホメオスタシス」の原則に則ったものです。これが身体のサバイバル回路を導く力となり、長寿遺伝子を活性化すると考えられています。
 
 

NMNとホルミシスの相乗効果

このように、老化を克服するためには「ホルミシス」(適度なストレス)が重要です。しかしこのホルミシスだけでは限界があります。
そこで、長寿遺伝子を活性化させるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を摂取することが老化の克服には有効です。このNMNは、もともと私たちの細胞の中に自然に存在する補酵素であり、NMNを増やすことで長寿遺伝子を活性化させることができます。加齢とともに減少するNMNを、サプリメントにより手軽に効率よく摂取することが可能です。
過度なストレスは減らし、適度なストレスを与え、NMNを摂取することで、老化防止に対して一定の効果が期待できるようになります。