フレイル予防で健康寿命を延ばす

  • 2024年4月16日
  • 2024年4月16日

日本人の平均寿命は年々延びています。ですが平均寿命は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、いわゆる健康寿命とは異なります。つまりは、何年生きられるかではなく、何年元気でいられるかということが、重要となってきます。そこで今回は、健やかな生活を送って健康寿命を延ばすには、どのようなことをするべきなのかを考えてみましょう。

延び続ける平均寿命

私たちは生まれたからには、必ずいつかは死を迎えなければなりません。その生命が尽きる状態までの期間を寿命といいます。現代社会では医学の進歩と発達により、平均寿命は年々延びています。厚生労働省による2020年の調査では、平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっています。
一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを健康寿命といい、男性72.68歳、女性75.38歳となっています。ここからわかることは、平均寿命と健康寿命の差です。男性なら8.96年、女性なら12.36年の間、健康上の理由で日常生活が制限されてしまう期間だということになります。

例えば介護が必要であったり、寝たきり状態であったりする期間が、何年も続いている状態であるということです。

平均寿命と健康寿命の差/が課題

この平均寿命と健康寿命との差が大きければ、本人だけでなく家族や親族など周りの人たちもまた、金銭的・肉体的・時間的にも大変な負担を強いられてしまうことになります。つまり「平均寿命と健康寿命との差をいかに縮めることができるのか」、それが喫緊の課題であることは確かです。

フレイルとは

一般的には、ある日突然健康な人が、日常生活が制限される生活に陥ってしまうわけではなく、年を重ねる中で徐々に心身が衰弱し、やがて寝たきりなどの重い要介護状態に陥っていきます。こういった状態のことを「フレイル」といいます。このフレイルは一言で言えば「健康な状態と要介護状態の中間の段階」を意味します。英語の虚弱、老衰、脆弱「Frailty(フレイルティ)」が語源となっており、これに正しく介入すれば戻るという意味があることを強調するために、日本老年医学会があえて「フレイル」と名付けたものです。

フレイルとその要素

フレイルには大きな3つの要素があります。

身体的フレイル

「ロコモティブシンドローム」と言われる運動機能障害で移動機能の低下や、「サルコペニア」と言われる筋肉の衰えが代表的な例です。高齢期になると、一般的には筋力は自然と低下していきます。

精神・心理的フレイル

高齢になり、定年退職や、パートナーを失ったりすることで引き起こされる、うつ状態や軽度の認知症の状態などを指します。

社会的フレイル

社会とのつながりが希薄化することで生じる、社会的孤立や経済的困窮の状態などをいいます。

フレイルは戻ることができる状態

フレイルは、日常生活が制限される生活に陥ってしまうまでの序章でしかないのかというと、そうではありません。先述したとおり、フレイルは正しく介入すれば戻ることができる状態でもあるのです。つまりこのフレイルの状態にいかに早く気づき、対策を施していくかが、その後の健康寿命を延ばすことができるか否かを大きく左右する要素なのです。

そのフレイルから健康な状態に戻るために必要な要素の一つとしては、老化を食い止めることにあるでしょう。一般的に老化は年齢を重ねることによる現象で「自然の現象」と考えられていました。しかし、2020年に「老化は病気である」という事実が発表され、世界に衝撃が広がりました。

老化は老化細胞の増大が要因

どのようなことかというと、老化とは体内に蓄積されていく老化細胞(細胞が何度も何度もコピーされていくうちに、元の細胞とは違ったものとなってしまったもの。修復もできないばかりか、他の細胞にも悪影響を及ぼすもの)が多くなった状態のことでしかないのです。この老化細胞の量と割合を減らしてあげれば老化は防げます。

老化細胞は過剰な活性酸素が原因

老化細胞の生成を促進する主な原因は「過剰な活性酸素」です。本来活性酸素は体内に侵入しようとする細菌を撃退してくれるため、人間にとっては必要なものですが、〝過剰な〟活性酸素は、自分自身の細胞を傷つけ、本来の細胞とは異なった形になってしまい、それが更にコピーされ、老化細胞へと変化してしまうのです。

老化防止は活性水素とNMNが有効

この過剰な活性酸素を除去するためには、活性水素を摂取し、活性酸素と結び合わせることが有効です。活性水素とは水素分子(H₂)が離れて水素原子(H)となり、不安定な状態で存在していることを指します。同じように活性酸素(O)も不安定な状態で存在しています。そこに活性水素が近づくと活性酸素は電子を奪うために結合、その瞬間に無害な水(H₂O)となり、体外へ排出され、老化細胞を除去できます。  そしてまた、細胞を本来の姿に修復することも必要です。これにはNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)といわれる酵素が必要です。しかしこのNADそのものを摂取しても、体内ではそのまま吸収できないため、NADを作り出すNMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)を摂取することが必要となってきます。

まとめ ー健康寿命は本人の自覚で延ばせるー 

このように、フレイルになっても戻ることができるということを自覚して、日々の生活を過ごし、健康寿命を延ばしていただきたいものです。