妊娠しやすい身体をつくる優れた物質「NAD」とは

  • 2024年1月12日
  • 2024年1月17日

妊娠にはNADが効果的

子供が欲しいにもかかわらず、妊娠することができないという女性は決して少なくありません。
2022年から不妊治療は保険医療の対象となりましたが、治療によってすべての人が必ずしも妊娠できるようになるとも限りません。

そこで今回は、治療だけに頼るのではなく、妊娠しやすい身体をつくるための物質について考えてみたいと思います。

不妊治療が保険適応に

日本産婦人科学会が公表する2020年の不妊治療実績件数は、449,900件にも上ります。これに伴い政府は2022年4月から不妊治療を保険の適用対象としました。
それまでは不妊の原因を明確にするための検査や症状の治療のみに保険が適用され、体外受精などの不妊治療の場合は保険の適用範囲外でした。そのため、金銭的な面から敬遠していた人も、保険適用となったことで不妊治療に踏み切る人も多くなりました。

年齢とともに下がる妊娠確率

ただし不妊治療をすれば必ずしも妊娠するわけではなく、様々な条件が揃ってやっと妊娠することができます。妊娠するか否かの大きな要因の一つに加齢があります。

1年間避妊しないで性交渉をした場合の年代別妊娠確率(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Editionより引用)は、

年代 妊娠確率
0歳~24歳 86%
25歳~29歳 78%
30歳~34歳 63%
35歳~39歳 52%
40歳~44歳 36%
45歳~49歳 5%
50歳以上 0%

となっています。

 

また、1周期当たりの妊娠率に関しては、

年代 1周期当たりの妊娠確率
25歳 25%~30%
30歳 25%~30%
35歳 18%
40歳 5%
45歳 1%

この数字を見てわかることは、年令を重ねるほど妊娠する確率は低くなるということです。大きな原因の一つには卵子の老化にあると言われています。

加齢に伴う卵子の機能低下

女性の卵子の数は生まれたときから決まっていて、加齢と共に減少し、さらに正常な受精卵になるための卵子の機能=卵子の質も、加齢とともに低下します。そのため、卵子の質が低下すると、妊娠しにくくなります。これが、加齢に伴って妊娠確率が下がる原因となります。その卵子の質の低下は35歳ぐらいから急激に進行し、閉経時にはほぼゼロに近い確率となってしまいます。生理があったからといって、妊娠するわけではないのです。

先述した政府の不妊治療を保険の適用対象年齢が43歳未満というのも、このことを鑑みてのことと思われます。

ただし、一定の年齢になれば全て、妊娠が不可能ということではなく、多少の可能性の上下はあります。

加齢に伴う卵子の機能低下は個体差が大きく、若くして妊娠しづらかったり、年齢を重ねても妊娠しやすいこともあります。

機能低下はNADの減少

これに大きく関係しているのがNADです。NADとは「サーチュイン遺伝子」別名「長寿遺伝子」と呼ばれ、人間が生きるうえで欠かかすことのできない細胞における最も重要な補酵素です。このNADが減少することで、卵子の質が低下すると考えられています。

つまり妊娠しやすくするためには卵子の機能を高めることが必要であり、そのためにはNADを増やしてあげることが必要であると言えます。

NADを増加させるNMN

加齢に伴って減少してしまうNADを増加させるために、現在世界的に注目されているのがNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)です。NMNはNADが生成される前段階の物質(前駆体)で、これを飲むと体内でNADに変換されます。

 

老化研究の権威であり、世界的に衝撃を起こした著書『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』を発表した、デビッド・A・シンクレア博士らが、2020年にニューサウスウェールズ大学、リムリック大学などと共同研究を行いました。

 

12カ月齢のマウス(ヒトでは40代に相当)の卵細胞と、4~5カ月齢のマウス(ヒトでは20代に相当)を比較すると、高齢マウスの方がNAD(P)H(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)が低下していることがわかりました。そこで、13カ月齢のマウスにNMNを飲み水に混ぜて0.5 g/・の濃度で4週間投与したところ、その結果、NAD(P)Hのレベルを上がりました。(* Cell Rep. 2020 Feb 11;30(6):1670-1681.)

 

この研究結果からわかるように、NMNを摂取することにより、妊娠しやすい体質になることが期待できるというわけです。

 

そしてNMNは「長寿遺伝子」といわれるNADが生成される前段階の物質(前駆体)ですから、妊娠しやすい体質だけでなく、長寿、若返りといったものも同時に得られるのです。

 

NMNを手軽にサプリメントで

NMNは私たちが普段摂っている野菜や種子などにも含まれますが、これまでの研究からヒトへの効果が期待されるNMNを1日250mg摂るためには、ブロッコリーなら4000房、枝豆なら2万粒も食べなければならないことになります。これだけの量を毎日摂取することは物理的に不可能です。そこでNMNを効率よく摂取するにはサプリメントが有効です。

 

ただし気をつけなければならないことは、現在NMNとして発売されているサプリメントの中には安価であっても、化学合成によって作られた製品や、NMNと謳っていながら不純物が多く含まれているものも多くあり、これらの製品は安全な長期間の使用には残念ながら適しません。また中にはNMNが全く入っていないまがい物も販売されており、ニュースにもなりました。今現在においてNMNサプリメントを選ぶ際には、高価であることは一つのポイントとも言えます。ぜひ質の高い確かな製品を選ぶことをお勧めします。